飲食店開業前に知っておくべき|厨房設計で失敗しないための7つのチェックリスト
飲食店開業の成功は「厨房設計」で決まります。開業後に「使いづらい」「効率が悪い」と気づいても、大規模な改修は難しく費用もかさみます。本記事では、開業前に押さえるべき7つのチェックリストを、長年の実績を持つ厨房設計の専門家が解説します。
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飲食店の開業は、多くの準備事項が重なる時期です。特に「厨房設計」は、開業後の営業効率と食の安全性を左右する最も重要な要素です。にもかかわらず、開業資金に余裕がなくなるほど、厨房設計を軽視してしまう傾向があります。本記事では、長年の厨房設計実績を持つまるきエム・シーが、飲食店開業前に必ず確認すべき7つのチェックリストをご紹介いたします。
株式会社まるきエム・シーは、長野県松本市を本社に、安曇野市に営業所を構え、長野県内全域での業務用厨房機器の販売・設置工事を手がけています。飲食店の開業から営業終了後の廃棄物処理まで、厨房に関わるすべての課題をワンストップでサポートする専門企業です。開業予定の飲食店オーナーの皆様に向けて、失敗しないための実践的なチェックリストをお伝えします。
チェックリスト1:店舗コンセプトに合わせた厨房機能の確認

「厨房設計で失敗した」という事例の多くは、「店舗コンセプトと厨房機能のズレ」が原因です。たとえば、「イタリアン」を掲げているのに、本格的なピザ窯やパスタ調理設備を導入していない、あるいはその逆に、不要な設備に予算を使いすぎているケースです。
■ 業種・業態と厨房レイアウトの整合性
厨房設計の第一歩は、「あなたのお店が提供する食事の『形態』を明確にすること」です。
- フルサービスレストラン:顧客が来店して座席で食事。調理から提供まで、すべてを厨房で管理する必要がある。厨房は広めに設計し、複数の調理工程を同時に進める設備が必要。
- ファストカジュアル(カウンター型):顧客が調理風景を見ながら食事する形態。オープンキッチンの場合、見た目の美しさと衛生管理が同時に求められる。
- 弁当・惣菜店:中食需要に対応する業態。短時間で大量調理できる設備(ブラストチラー、大型冷蔵庫)が必須となる。
- ケータリング・給食センター:外部搬送やセントラルキッチンの場合、温度管理と衛生管理の機能が最優先となる。
■ メニュー構成と必要設備の把握
メニューが決まると、必要な厨房機器が自動的に決まります。
メニュー構成確認リスト:
• 冷たい食事が中心か、温かい食事が中心か?(冷蔵・加熱設備の優先度判断)
• 生食(刺身・生野菜)を扱うか?(清潔性と温度管理の重要性)
• 揚げ物は提供するか?(フライヤーと油処理システムの有無)
• パスタ・麺類を扱うか?(ゆで機・スープ保温設備)
• デザート・パンは調理・焼成するか、それとも仕入れか?(オーブン・製菓設備の有無)
チェックリスト2:物件選定時の厨房スペース確認
飲食店開業で「物件選び」は最初の関門です。しかし多くのオーナーが、「立地」と「賃料」だけで判断し、「厨房として機能するか」をチェックしないまま契約してしまいます。結果として、「実際に営業を始めたら、調理スペースが足りない」「電源が不足している」といった問題が発生します。
■ ホール:厨房面積比の最適化
飲食店全体の面積の中で、厨房が占める割合は「業態」によって異なります。
■ 天井高・電源・水道・排気設備の確認
厨房として機能するかは、建物のインフラが整っているかで決まります。特に以下の4点は「後から変更が難しい」ため、物件選定時に確認することが重要です。
天井高
最小:2.1m以上
排気ダクト・照明・配管を考慮すると、実際の作業空間が狭くなります。2.1m未満だと、背の高い調理器具(スチームコンベクションオーブンなど)が設置できません。
電源(動力)
容量:最小50A以上
業務用調理器具は大電力が必要です。既存の電源容量が不足していると、改修工事に多額の費用がかかります。
水道・排水
給水・排水位置の確認
調理台・シンク・食器洗浄機は、水道に近い位置に設置することで、給排水工事費を削減できます。
排気設備
排気ダクト・屋外排出口
調理時の油煙・臭気を適切に排気する設備がないと、近隣トラブルの原因となります。
チェックリスト3:作業動線と安全性の設計
「効率的な厨房」と「事故が起きやすい厨房」の違いは、「動線設計」で決まります。厨房は限られたスペースで高温・高湿・重い物の移動が常です。不適切な動線は、スタッフの疲労、食中毒リスク、調理ミスにつながります。
■ 「搬入→下処理→調理→配膳」の流れ
理想的な厨房動線は、「食材が一度も逆流しない」ことが原則です。
- 搬入口 → 食材保管(冷蔵・冷凍庫):搬入口から最短距離に冷蔵庫を配置。外部からの細菌混入リスクを最小化
- 保管 → 下処理エリア:冷蔵庫から食材を取り出して、すぐに下処理できる作業台を配置
- 下処理 → 調理器具:加熱調理器具(フライヤー、コンロ、オーブン)への最短ルート
- 調理完成 → 配膳口(ホール):熱い食事を素早く提供できるよう、配膳口を調理器具の近くに配置
■ 冷蔵庫・調理器具・洗浄機の配置
業務用冷蔵庫は、単に「食材を保管する」だけでなく、「作業台の延長」として機能します。冷蔵庫の天板を作業面として使えるように、高さと位置を慎重に設計する必要があります。
- 縦型冷蔵庫(バーチカルタイプ):スペース効率が良い。ただし、奥が深いため食材の見落としがある可能性
- 横型冷蔵庫(コールドテーブル):天板を作業台として使用できるため、スペース利用が効率的。ただし、設置面積が広い
- 食器洗浄機:下処理エリアと調理エリアの両方にアクセスできる位置が理想的。排水ラインも同時に設計
- 調理器具の配置:頻繁に使う機器(フライヤー、コンロ)は、スタッフの利き腕を考慮した高さと位置に
チェックリスト4:厨房機器の選定と予算配分
飲食店の開業資金は1,000万円以上に及ぶことが一般的です。その中で、厨房設備費は100~200万円以上を占めます。限られた予算の中で、最優先すべき機器から段階的に導入することが成功の鍵です。
■ 新品・中古・リース選択の判断基準
機器選定の際の選択肢は以下の3つです。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、経営戦略に合わせて判断することが重要です。
「参照:テンポスフードメディア|中古ホシザキ冷蔵庫を選ぶ理由」
■ 優先度の高い設備から段階的導入
開業資金に余裕がない場合は、「必ず必要な機器」と「後から追加できる機器」を分類することが重要です。
優先度:高(開業時必須)
• 業務用冷蔵庫・冷凍庫
• 調理器具(フライヤー、コンロなど)
• 食器洗浄機
• シンク・作業台
• 排気設備
優先度:中(開業後3~6ヶ月で追加)
• スチームコンベクションオーブン
• 製氷機
• ブラストチラー
• 真空包装機
優先度:低(経営状況に応じて)
• ロボットアームなどの自動化機器
• 高級厨房機器
• テーブル・椅子等のホール設備
チェックリスト5:衛生管理・HACCP対応

「衛生管理」と「厨房設計」は切り離せません。2020年以降、食品衛生の国際基準「HACCP」対応が、食品製造・飲食業の事業継続の必須条件となりました。厨房機器の選定段階から、温度管理と洗浄機能を最優先に検討する必要があります。
■ 温度管理機能を備えた設備選定
HACCP対応の厨房では、食材の温度管理が極めて重要です。特に「中食」「給食」では、調理から提供までの温度推移を記録することが義務化されています。
- 冷蔵庫(0~10℃):食材の腐敗防止。定期的な温度測定と記録が必須
- 冷凍庫(-18℃以下):細菌増殖の完全停止。フロン排出抑制法への対応も同時に検討
- 加熱調理器:食中毒菌を殺滅するため、75℃以上の加熱を確実に実現できる機器選定
- ブラストチラー(急速冷却):調理直後の高温食品を急速に冷却し、危険温度帯(20~60℃)での細菌増殖を防止
■ 洗浄・消毒機能の充実
食器・調理器具の洗浄は、二次汚染防止の最後の砦です。業務用食器洗浄機は、単に「汚れを落とす」だけでなく、「適正な温度での消毒」まで実現できることが条件です。
• 食器洗浄機の水温は80℃以上に設定可能か?
• 洗浄・すすぎ・消毒のサイクルは自動管理されるか?
• 使用水量(節水性)と消費電力のバランスは取れているか?
• 定期的なメンテナンスサービスを提供する販売業者か?
詳細については、直接お問い合わせください。
チェックリスト6:法令規制への対応確認
飲食店の厨房設計は、国や自治体の法令に基づいて実施される必要があります。特に冷蔵庫・冷凍庫に使用されるフロン関連物質の管理が、2025年に大幅に強化されました。
■ フロン排出抑制法への対応
フロン類は、オゾン層破壊と地球温暖化の原因となるため、国際的に規制されています。日本の「フロン排出抑制法」は、機器の使用者・廃棄業者の双方に義務を課しています。
- 機器ユーザーの義務:冷蔵冷凍機器の定期点検(3ヶ月~1年に1回)、漏えい検査、記録保管
- 廃棄時の義務:機器の廃棄時に、フロン類を回収業者に依頼して回収・破壊を行う(故意に環境放出した場合は罰金)
- 低GWP冷媒への切替:新規導入時は、オゾン破壊係数と地球温暖化係数が低い冷媒を搭載した機器選定が推奨される
- 記録義務:点検日・点検内容・漏えい検査結果を最低3年間保管する必要がある
株式会社まるきエム・シーは、「第一種フロン類充填回収業」(登録番号:2010278)として、フロン関連機器の適正な取扱いに対応しています。機器の選定から廃棄まで、法令遵守のサポートが可能です。
■ 建築基準法・消防法の確認
厨房の設計・工事は、建築基準法と消防法の両面から確認が必要です。
建築基準法
• 排気ダクトの断熱・防火性能
• 床・壁の耐火・防水性
• ドア(防火扉)の設置基準
• 採光・通風基準
消防法
• 消火器・スプリンクラーの設置
• 排気口の防火シャッター
• グリストラップ(油脂分離装置)の設置
• 火気使用設備の安全距離
地域によって細部の基準が異なるため、地元の建築主事・消防署に事前相談することが重要です。
チェックリスト7:施工スケジュールと引渡しの確認
最後に、「開業予定日」と「施工期間」の調整が重要です。施工が予定より遅れると、開業延期に伴う経済的損失が膨らみます。
■ 施工期間と開業日程の調整
飲食店開業の厨房工事は、一般的に「基本設計」→「実施設計」→「工事」→「検査」というステップを踏みます。
- 基本設計:1~2週間。店舗コンセプト・予算に基づき、ラフスケッチ作成
- 実施設計:2~3週間。詳細な図面作成、見積もり確定
- 工事(搬入含む):2~4週間。厨房の広さ・複雑さによって変動
- 検査・微調整:3~5日。官庁検査(消防・建築)、動作確認
- スタッフ教育・本番テスト:1~2週間。開業前の試運転と従業員研修
■ 引渡し後の動作確認
工事完了後、すべての設備が正常に機能していることを確認することが重要です。
- 冷蔵・冷凍機器:温度が規定値(0~10℃、-18℃以下)に達するか確認。5分以上かけて実測
- ガス・電気設備:ガスコンロの点火確認、電気系統の接地確認
- 排水・給水:水漏れがないか、排水の流れが良好か確認
- 排気設備:ダクト内の油が逆流していないか、フードの吸引力は十分か
- 食器洗浄機:温度・洗浄時間・すすぎ水の品質確認。複数回の試運転推奨
- マニュアル・保証書の確認:各機器のマニュアル、保証書、メンテナンス契約書を整理。販売業者の連絡先を記録
厨房設計は「第一工程」——だからこそ慎重に
飲食店開業において、「厨房設計」は単なる「施設工事」ではなく、「経営の骨組み」です。開業後に「使いづらい」「効率が悪い」と気づいても、大規模な改修は難しく、莫大な費用がかかります。
本記事で紹介した7つのチェックリストは、厨房設計で「失敗しないための最低限の確認項目」です。これらをクリアすることで、以下が実現できます:
- ✅ スタッフの効率的な動き=営業効率の向上
- ✅ 温度管理の徹底=食の安全性と衛生管理
- ✅ 法令遵守=営業許可取得と行政指導の回避
- ✅ 初期費用の最適化=経営の健全性
- ✅ 長期運用の安定性=持続的な経営
株式会社まるきエム・シーは、長野県松本市・安曇野市を中心に、400を超える飲食店の厨房設計・工事を手がけてきました。開業予定の飆さん・飆社の皆様に向けて、「失敗しない厨房設計」のパートナーとして、ご相談いただきたいと考えています。
「まだ物件も決まっていない」「予算が不確定」という段階でも、ぜひお気軽にご相談ください。戦略的なコンサルティングから、実施設計、工事、廃棄物処理まで、ワンストップでサポートいたします。
株式会社まるきエム・シー
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